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ラッパーのB.D.は元々DJからキャリアをスタートさせている。THE SEXORCISTの首謀者の一人としても知られており、KILLA TURNERはB.D.のDJ名義だ。近年活動をより活発化させているから、その名をフライヤーなどで見ている人は多いはずだし、実際に彼のプレイを聴いた人もいるだろう。1時間に及ぶこのミックスには、KILLA TURNERのヒップホップDJとしての真髄が込められている。選曲はラップ・ミュージックではない。闇の中で妖しく光るラテン・ジャズ風の楽曲に始まり、ディープなジャズ・ファンクへとスムースに移行していく。豪勢なホーン・セクションがあり、エレピの心地良い響きがあり、パーカッションのアクセントがあり、ビートやリズムはタイトだ。そこからのルーツ・レゲエやダブへの展開が秀逸で、そしてまたソウル・ミュージックや16ビートのファンク、フュージョンの世界へリスナーを導いていく。TETRAD THE GANG OF FOURのあの曲のヘンタイ的なベース・ラインの元ネタにも出会える。ヒップホップDJとはただラップやヒップホップをミックスするDJではない。ヒップホップDJは"つなぎ"に魂を込める。カットインのタイミング、その切れ味でそのDJの真価が問われる。その点においてこのミックスは素晴らしくクールで、また90年代の東京(特に渋谷や池袋)の豊饒なヴァイナル・カルチャーをリアルタイムで体験してきたBボーイがそこで得たスキルと知識を惜しげもなく披露しているのが、最高にドープだ。(二木信)
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