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Abyssinians (アビシニアンズ)Text by Harry Hawks

ジャマイカのルーツ・ヴォーカル・グループの中でも、最も尊敬を受け、優れた、また空気のようなハーモニーの美しさは他と比べようがない。彼らのデビュー・シングル‘Satta A Masa Gana’はレゲエ・ミュージックの歴史において最もヴァージョン化される楽曲、またリズムの1つであり、現在はラスタファリアンたちのアンセムになっている。
2015/3/9掲載 2020/1/24更新 (C)ダブストアサウンドインク 無断転載を禁ず
メンバー:Bernard Collins
Lynford Manning
Donald Manning
1968年~
結成地: ジャマイカ
キングストン
関連アーティスト:
Carlton & The Shoes (カールトン・アンド・ザ・シューズ)
兄弟のカールトン(Carlton)とともに伝説的なヴォーカル・トリオとして歌っていたドナルド・マニング(Donald Manning)とリンフォード・マニング(Linford Manning)、そしてバーナード・コリンズ(Bernard Collins)から成るアビシニアンズ(Abyssinians)は1968年に結成された。アビシニアンズとして初めてレコーディングを行ったのは1969年3月だった。全能なる'Satta Massa Ganna'はアムハラ語で"感謝"を意味する。一部分をアムハラ語、一部分をカールトン&ヒズ・シューズ(Carlton & The Shoes)の大ヒット'Love Me Forever'のB面に収録されていた'Happy Land'から引用したこのレコードはブレントフォード・ロードに位置するクレメント'コクソン'ドッド(CS Dodd)のスタジオ・ワン(Studio One)でリロイ・シブルス(Leroy Sibbles)をベース、フィルバート'フィル'カレンダー(Filberto 'Fil' Callender)をドラム、エリック・フレイター(Eric Frater)をリード・ギター、リチャード・エース(Richard Ace)をピアノ、ロビー・リン(Robbie Lyn)をキーボード、ヴィン'ドンDジュニア'ゴードン(Vincent 'Don D Junior' Gordon)をトロンボーン、フィリックス'デッドリー・ヘンドリー'ベネット(Felix 'Deadly Headly' Bennett)をサックスに起用して作り上げられたセルフ・プロデュース作品だった。カールトン・マニングは総括的にこのグループのハーモニーを鍛え、'Satta A Masa Gana'はレゲエ・ミュージックにおいて最初にラスタファリアンの影響を受けて作られた楽曲の1つだ。これらのテーマは後に一般的になるが、事実上、当時聞いたこともなかった'Satta A Masa Gana'は"リリック、リズム、精神"的な部分においてこの音楽のこの先10年に、消すことの出来ない影響を及ぼした。まずリリースされたホワイト盤は'Jerusalem'が裏面に収録されたが、ナイヤビンギをフィーチャーしたヴァージョンの'Thunder Storm'を収録したその後のプレスはこのグループのレーベル、クリンチ(Clinch)からリリースされた。同年アビシニアンズはコクソンの元で'Declaration Of Rights'を録音したが、"Get up and fight for your rights my brothers"という最高級の歌詞のこの楽曲は完全に当時のレゲエのトレンドとはかけ離れていた。コクソンは攻撃的でコンシャスなチューンのレコーディングの先駆者であり、ウィンストン・ロドニー(Winston Rodney)、通称"ザ・バーニング・スピア(The Burning Spear)"とも仕事をしていたが、時代はまだ'Declaration Of Rights'に付いていくことは出来なかった。コクソンはこの楽曲を1971年のコンピレーション・アルバム「Solid Gold」に収録してリリースしたが、この楽曲は後にレーベル、コクソンから裏面にヴァージョンを収録し7インチ化された。

アビシニアンズの音楽は時代を感じさせなかったとしても、彼らは'Satta'が受け入れられるまで"キングストンのサウンドシステムにこのレコードを売り込み続け"、レコード消費者たちに受け入れられるまで、2年という長い年月を要したが、最後にはSwingマガジンの1971年のグレイテスト・ヒッツ第2位に選ばれたほどだ。最初期のダブLPの1つである「Dub Serial」で'Satta A Masa Gana'のリズムを初めてヴァージョン化したのはプロデューサーのジョー・ギブス(Joel Gibson)、その次はピーター・トッシュ(Peter Tosh)が演説する'Here Comes The Judge'とウィンストン・ライト(Winston Wright)をフィーチャーしたその裏面のインストゥルメンタル・ヴァージョン'Rebeloution'、そしてその次はデストロイヤーズ(Destroyers)とクレジットされたインストゥルメンタル・カット'Ah So'が続けて作られた...スタジオでの収録にはトミー・マクック(Tommy McCook)やボビー・エリス(Bobby Ellis)などの金管楽器界の英雄たちも参加していた。アビシニアンズは聖書からの1節を引用、またジョー・ギブスに向けて"Ah na so..."と警告を促す'Mabrak'と名付けられた'Satta'の演説ヴァージョンをクリンチからリリースしたが、「ジョー・ギブスがこのヴァージョンをやるまでこの楽曲には誰も注目しなかった」とバーナード・コリンズは後に語っている。

クロス・ロードに位置する自身のレコード・ショップを拠点にこのグループはクリンチで'Let My Days Be Long'、'Leggo Beast'またの名を'Licken Sticks'、'Poor Jason Whyte'、バーナードが'Satta'のリズムに'Declaration Of Rights'を乗せた'Satta Me No Born Yah'などの一連の名曲を残した。このレーベルからリリースされたシングルは全て完璧であり、刺激的で教育的、そして魂を揺さぶる希望と信念の歌、ルーツ・ロック・レゲエの典型だった。ビッグ・ユース(Big Youth)は1973年の夏、'Satta'のディージェイ・ヴァージョン'I Pray Thee'を制作、クリンチ以外にもダーナ・ディンプス(Dahna Dimps)とイスタ・ライオン(Ista Lion)、そしてビッグ・ユースのオーガスタス・ブキャナン(Augustus Buchanan)とネグサ・ナガスト(Negusa Nagast)からリリースされるなどその人気の高さを伺うことが出来た。カヴァーされ過ぎることにこのグループは文句を言わないだろうが、彼らはまた時折、ロイド'マタドール'デイリー(Lloyd 'Matador' Daley)への'Yim Mas Gan'、フェデラル(Federal)のサブ・レーベル、ルーツ(Roots)への'Reason Time'、クライヴ'アズール'ハント(Clive Hunt)のサウンド・トラックス(Sound Tracs)への'Tenaystillin Wandimae'など他のプロデューサーたちへも彼らの最善を尽くした作品を残した。このグループはそれから、"パット・クーパー(Pat Cooper)が運営し、クライヴ'アズール'ハント、ジェフリー・チャン(Geoffrey Chung)やマイキー・チャン(Mikey Chung)などの一流ミュージシャンたちが在籍した"レーベル、サウンド・トラックスでアルバムの制作を始めた。不可解なことに'Tenaystillin Wandimae'は 1976年にペネトレイト(Penetrate)からリリースされたこのグループのデビューLP、「Satta Massa Gana」からは省かれてしまったが、'Satta'、'Declaration Of Rights'や'Yim Mas Gan'のアップデート・ヴァージョンやそれらと同等の出来映えの、雄大な'Abendigo(Abednego)'や'Forward Unto Zion'など他7曲を収録した。イギリスでリリースされたこのアルバムのホワイト盤の海賊盤はこのアルバムの持つインパクトを半減させてしまったが、この違法のリリースを通してこのグループは遂にメインストリームのレゲエ・レコード消費者たちの注目を浴びることに成功した。このアルバムは1977年にイギリスでカーク(Kirk)から、その翌年フォワード(Forward)から「Forward Onto Zion」として正式にリリースされ、この完璧なアルバムはアメリカのアズール(Azul)、そして自身のレーベル、クリンチなど異なったレーベルからも発売された。

ジェレミー・マーレ(Jeremy Marre)の素晴らしいドキュメンタリー「Root, Rock Reggae」に出演し、'Satta'の泣きのアコースティック・ヴァージョンを披露したこのグループはその後、ロンドンのレーベル、ヴァージン(Virgin)傘下のフロント・ライン(Front Line)と契約した。フロント・ラインから1978年にリリースされたアルバム「」に収録されている数曲はバーナード・コリンズがプロデュースしたが、残りはドナルドとリンフォードのプロデュースがプロデュースした。このアルバムには'Licken Sticks'、'Let My Days Be Long'、や'Jah Loves'と名付けられた'Nature Boy'の見事なカヴァーと感動的な'This Land Is For Everyone'が収録されている。このグループは80年代早期に解散し、繰り返すが、彼らの音楽は時代と調和することはなかったが、ドナルドはドナルド・アビシニアンズとしてダーナ・ディンプスから崇高なる'Peculiar Number'、一方でバーナードはジャマイカでクリンチのレコードを再度リリースし始めた。バーナードは80年代後半にイギリスを訪れ、アーカイヴを掘り起こし、'Satta'の続編となるトミー・マクックの'Mandela'やリチャード・エースのオルガン・カット'Charming Version'をクリンチのUK盤からリリースした。この3人は1989年に再結成し、謎めいたアルバム「19.95 Plus Tax」をオリジナル・アビシニアンズ(Original Abyssinians)として録音したが、その3年後このアルバムはアーティスツ・オンリー!(Artists Only!)から「Reunion」として異なった収録曲で再度リリースされた。2004年、ブラッド&ファイアー(Blood & Fire)のスティーヴ・バロウ(Steve Barrow)は素晴らしいアルバム「Tree Of Satta」をリリースした...'Satta'のヴァージョンのみで構成されているこのアルバムはこの名リズムにアーネスト・ラングリン(Ernest Ranglin)やUロイ(U Roy)などのヴェテランから、ルチアーノ(Luciano)やヤミ・ボロ(Yami Bolo)などの近年のヒットメーカーたちが彼ら独自の演奏を載せるといった内容になっている。

リンフォードはこのグループでの活動に"満足した"として1990年に脱退したが、彼は"キリストのために教会で歌い続ける"という。そして2004年、デイヴィッド・モリソン(David Morrison)がバーナードとドナルドのアビシニアンズに加わった。過去10年以上、このグループはヨーロッパとアメリカをツアーで回り、絶妙なハーモニーと道徳的なメッセージでオーディエンスたちを魅了してきた...彼らの出演は長年の熱狂的なファンを楽しませるだけでなく、時と場所を選ばず新しいファンを獲得した。いつも玄人に好まれる彼らはレコードにおいてもステージの上のどちらにおいてもスピリチャルな音楽を作ることを止めず、彼らのライヴ・パフォーマンスは彼らの音楽の永久的な美しさがあることを証明している。一時的な熱狂や流行りに流されることのない、長老としての彼らのポジションは疑う余地もなく、彼らの音楽はルーツ・レゲエが原点を失わないための重要な役割を果たしている。

参考文献:
Dave Hendley, Chris Lane & John MacGillivray: The Abyssinians: Declaration Of Rights Blues & Soul No. 222 29th March 29th to 11th April 1977
www.theabyssinians.com
2015/3/9 (2020/1/24更新) Text by Harry Hawks
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