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ダブ(Dub)を発明し、その普及に努めたジャマイカ音楽史上最も重要な人物キング・タビーは幼少の頃に電気に興味を持ち始めた。その後、電化製品の修理を行う傍ら、サウンドシステム用のアンプの製作を試み、自身のサウンド・システム’Home Town Hi-Fi’を68年に始動させた。同時期にトレジャー・アイル(Treasure Isle)でレコードのカッティングをする仕事に就いていた彼はある日、同所で録音されたロック・ステディの名曲からヴォーカルを抜いたバージョンに新たな可能性を見出し、バージョンのダブ・プレートを自身のサウンドシステムでプレイしたところ好評を得た。更にU-ロイ(U Roy)が今日のDJの起源とも言えるスタイルを編み出したのもタビーの功績によるものである。
72年には地元ウォーター・ハウスに自身のスタジオを設立し、それまでプレイしていたヴァージョンをエフェクトや音の抜き差しを加えたダブへと進化させた彼は、同スタジオでバニー・リー(Bunny Lee)、リー・ペリー(Lee Perry)、オーガスタス・パブロ(Augustus Pablo)、ロイ・カズンズ(Roy Cousins)、カールトン・パターソン(Carlton Patterson)、ウィンストン・ライリー(Winston Riley)、ヤビー・ユー(Yabby U)といったプロデューサー達の制作した曲のミックスを多数手掛けた。リー・‘スクラッチ’・ペリー(Lee‘Scrach’Perry) と共同で73年に発表した最初のダブ・アルバムと言われる「Blackboard Jungle Dub」やバニー・リー(Bunny Lee)との「Dub From The Roots」、そしてタビーとパブロによる最強の組み合わせがもたらしたダブ・アルバムの金字塔「King Tubbys Meets Rockers Uptown」といった作品に代表される100枚以上のアルバムにタビーの名はクレジットされている。
後にキングに名を改めたプリンス・ジャミー(Prince Jammy)、フィリップ・スマート(Phillip Smart)、サイエンティスト(Scientist)といった優秀なエンジニア達も活躍し、タビーズ・スタジオは隆盛を極めた。
1970年代が終わりを迎え、新時代に突入していたレゲエシーンにおいてダブに対する需要は明らかに減っていった。ダンスホールへと主流が移行するその動きに伴い活躍の機会は以前に比べて減少傾向にあったキング・タビー(King Tubby)であるが、これまで行っていたミキシングだけでなくレコーディング機能も完備したスタジオ建設に着手。そして1985年に新しいスタジオを開業させる。この新しいキング・タビーズ・スタジオではPhantom(ファイントム)、ピーゴ(Peego)、ファットマン(Fatman)、バントン(Banton)といった愛弟子達がエンジニアを努める事が多く、キング・タビー(King Tubby)自身は当時も電気部品を修理しており、ダブ・カットやミックスなどが上手くいかない時などに、手ほどきを見せていた。
また、タビーはファイヤー・ハウス・クルー(Fire House Crew)という若いチームを招き、彼らも楽曲制作に携わっていた。
島中が愛弟子であるキング・ジャミーの放った「Sleng Teng」で湧き上がる1985年。ジャミーの勢いに待ったをかけるべく、キング・タビーは、ファイヤー・ハウス(Firehouse)、ウォーター・ハウス(Waterhouse)、トーラス(Taurus)、キングトン11(Kingston 11)レーベルを立ち上げ、当時、ジャマイカで流行していた音楽の制作も始める。 最初のリリースとのなったが若手アーティスト、アンソニー・レッド・ローズ(Anthony Red Rose)を起用したテンポ【Tempo】である。この楽曲は、スレンテン(Sleng Teng)に対抗すべく作られたデジタル・リズムであるが、スレンテン(Sleng Teng)のようなアップテンポで軽快なものではなく、マイナーコードで展開されていくソリッドでストイックなサウンドに、タビーの弟子であるファット・マン(Fatman)、ピーゴ(Peego)が施したアグレシッブなミックス・アレンジとを彼の「アウト・オブ・キー」スタイルが織り成す独特のグルーブで人気を博した。
ジャミーのスレンテン(Sleng Teng)を使用した【Under Mi Fat Thing】や【Worries Again】、【Old Pan Bangrang】などもアンソニー・レッド・ローズ(Anthony Red Rose)がタビーの元に残した忘れてはいけない代表作である。
彼以外にもタビーは、グレゴリー・アイザックス(Gregory Isaacs)やコーネル・キャンベル(Cornell Campbell)、ジョニー・クラーク(Johnny Clarke)、ロイド・ヘミングス(Lloyd Hemmings)といったヴェテランからキング・エヴァオール(King Everal)、ジョン・ウェイン(John Wayne)とフレッシュなアーティストまで様々な作品を手がけた。キング・コング(King Kong)が、当時蔓延していたエイズについて警鐘を鳴らした【Aids】やサウンドクラッシュの定番曲として知られるコートニー・メロディー(Courtney Melody)の【Ninja Mi Ninja】なども人気曲である。タビーの作品の特徴は、100%サウンドシステム仕様にカスタマイズされ、ありきたりなデジタル・ダンスホールとは比較にならないほどの強力な破壊力を秘めてた。その象徴ともいうべき革新的な1枚のアルバムが89年にリリースされた「King Tubby Presents Sound Clash Dub Plate Style」である。このアルバムにはジュニア・バイルズ(Junior Byles)の傑作ルーツを相手サウンドに向けて歌いなおしたリトル・ジョンの【Fade Away】やジョニー・オズボーン(Johnny Osbourne)の【Line Up】などが収録されている。
押し寄せるデジタル・ダンスホールの波にも果敢に挑戦したタビーだったが、1989年2月6日未明、自宅に帰宅した直後に何者かに襲撃され凶弾に倒れた。彼の早すぎる死は島中を悲しみに包むと共にレゲエ界にとって大きな損失となった。偉大なるパイオニアの挑戦はこうして幕を閉じる事となったが、彼の残した功績は彼の死から20年余り経った現在でも色褪せる事は無い。
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A side) |
Anthony Red Rose - Me No Want No Boops
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B side) |
King Tubbys All Stars - Version
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Firehouseレーベルのダンスホール期を語る上で外す事のできないアーティスト、アンソニー・レッド・ローズ。
キング・タビーが解き放った80年代ダンスホール期を象徴するトラックの一つ「Tempo」のオリジナルが彼である。
キング・タビーとその弟子達がクリエイトするサウンドをアウト・オブ・キーを武器に「Tempo」や「Old Pan Bangrang」、「Under Mi Fat Thing」、「Worries Again」など数多くの名曲を残している。
この「Me No Want No Boops」は、Firehouse産「Here I Come・Revolution」リディムにのせてコミカルなボイス・アレンジなども織り交ぜた演出もこれまた癖になる非常に人気の高い作品である。
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アナログ7インチ |
品番:
DSR-OR-001 |
Sold Out! |
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A side) |
John Wayne – Love It A Kill Me
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B side) |
Rhythm track by Firehouse Crew - Version
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キング・ジャミーズの「Sleng Teng」に対抗しキング・タビーが生み出した80年代ダンスホールの傑作リディム「Tempo」。このTempoリディムを使用したチューンの中でも人気の高い一枚。
Firehouseレーベルのシングル全てにいえることだがB面のダブ・ミックスは格別に秀逸な仕上がり。当時7インチは「Kingston 11」、12インチは「Firehouse」レーベルからリリース。 彼の人気曲「Call The Police」のようなパワフルなスタイルではないが、怪しげなこのトラックにバッチリとはめてくるスキルは流石な1曲。 |
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アナログ7インチ |
品番:
DSR-OR-002 |
Sold Out! |
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A side) |
Super Black – Rising Star
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B side) |
Rhythm track by Firehouse Crew - Version
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80年代のダンスホール・シーンで活躍していた好シンガー、スーパー・ブラック。
ジャミーズの「Deh Wid You」、「Rambo We Rambo」などが一般的な代表作ではあるが、[Photographer]レーベルよりリリースされていた「Screechie Across The Border」トラック「の「Just Like Magic」などマイナー調トラックとの相性は抜群である。
キング・タビー・プロデュースによる80年代のカタログの中でもこの「Rising Star」は独特のグルーブ感を生み出すベースラインを基調としたサウンドが彼の歌声の魅力を存分に引き出した非常に人気高いキラーチューンである。 |
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アナログ7インチ |
品番:
DSR-OR-003 |
好評発売中! |
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A side) |
Johnny Osbourne – Line Up
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B side) |
Trevor Levy - Nah Run From No Clash
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キング・タビーの遺作ともいわれているコンピレーション・アルバム「Sound Clash Dubplate Style」。
アルバム・タイトルからも察しがつくように、全てサウンド・チューンでコンパイルされている。
「サウンド・クラッシュ」をコンセプトとしたアルバムは数多くあるが、本作は、そんなコンセプトアルバムの中でも秀逸な曲が集約されている。しかも、全曲に伝説のイントロマン「Fuzzy Jones」のMCが入っている。
今回のリリースでは、ジョニー・オズボーンらしいメロディーラインとリリックで人気の高い「Line Up」と哀愁感じるトラックにトレバー・リビィーの歌声からも想像もつかない強力なリリックが炸裂する作品をカップリング。
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アナログ7インチ |
品番:
DSR-OR-004 |
Sold Out! |
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